日本の民主主義再構築

新政治運動の政策とは

新政治運動のための新合意ルール                          

首藤信彦

 

政策合意のための80点ルール

 これまで、個々の市民団体の多くは、きわめて狭い関心範囲・政策提言範囲にとどまり、また自分たちの主張と政策純化にこだわり、大きな枠組みでの政策提言や政策の実現が難しかった。国際的な問題、安全保障問題などは「異質なテーマ」としてそれを専門とするグループと協働することもなかった。今、まさに安全保障法制が問題となるなかで、市民グループは「軍事」も「安全保障」問題に十分な理解のまま、ただ「平和」と「反対」を主張するレベルにとどまっている。

さらに主張や提言を世間と行政に訴えるのみで、本来民主主義システムにそなわっている主張を代表して立法過程に影響を与える(議員を輩出する)ことは少なかった。ここは逆に業界団体や宗教団体などが熱心に取り組み成果を上げている分野である。

市民グループの一種の視野狭窄とでもいうべき現実のために、類似の活動も大きく集結してパワーに組み立てることができなかった。

その弊害を除き、大きく展開するために、この試み(新政治運動)に参加するグループは、自分たちの守備範囲を超えて、包括的な政策パッケージの八割に合意することをもって新政治運動に合意したとする。

具体的にはたとえば福祉10点、介護5点、外交20点、環境10点、安全保障15点、脱原発10点、脱アメリカ支配10点。。。などのように政策に点数をふり(ウエイトのつけ方は今後協議)、そのうち80点以上に合意に達するグループと協働するものとする。これにより、運動グループとしての政策の多様性・総合性と同時に、明確な方向性を打ち出すことが可能となる。これは既存政治では「綱領」(プラットフォーム)と呼ばれるものに近い。

 

既存政治・既成政党からの脱却

 日本政治は保守化した既成政党(自民・公明・民主・共産・維新)の選挙で生き残るための互助組織のような存在となり、政党間での政策論争も政党内での活発な議論や政治活動も消滅し、すでに国会が形骸化し機能しなくなっている。外国放送がNHKなどでも流されるようになり、各国の議会での討論や採決などを見る機会が増えたが、それと比べても、日本の国会が単なるセレモニーの場に堕していることがわかる。

小選挙区制・政党交付金、党議拘束などが政党と政治家、候補者の保守化・保身化に拍車をかけている。新しい政党や政治的意思を持った個人・小グループ・ローカルパーティなどが登場し政治を活性化するのを、そうした保守化した既存政党と選挙制度が阻んでいる。

これを①新しい政治理念②新しい政治組織③それを可能にする創意工夫と努力によって突破していこう。

 

新しい政治組織での政治活性化

 世界も社会も激動し、さまざまな価値観が生まれ、多様な価値観の相克がある状況において、社会の比較的少数者や弱者の声、日本社会に利権を持たない国際社会からの訴えは、現行の自公独裁政治や二大政党制などの旧態依然とした政治形態の下では、ほとんど政治的な力となりえない。

大政党の「党議拘束」に縛られない覚醒した議員による活動が停滞した国会の姿を変えることにつながる。今の政党では、国会質疑でも質問に立てるのは執行部と直結したごく一部であり、特定問題に専門性を持った議員がその問題で質問に立てるわけではない。まったく知識を持たない議員が、議運の選択で、秘書が作った質問要領をようやく読み上げ、それに対し、同様に専門性も経験もない大臣が官僚の答弁書を読み上げるという、茶番が現在の国会審議の実態である。

 こうした日本政治の混迷と停滞を打破するには、専門性を持ち、豊富な現場体験のある政治家を誕生させるほかはない。たとえ一人でも事実と正義に立脚した論客がいれば、政治の暴走をとめることが可能である。それが国会という場であり、議員の数は常に決定的ではない。古くから言い古されたことばであるが、政治家になりたい人よりも政治家にさせたい人を見つけ、教育し、支援して日本政治の活性化に役立つ人材としていかなければならない。